すみかる住生活版

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2人目産後クライシスは夫婦の愛をつなぎとめるラストチャンス

幸せ家族4人

イラスト 空兎 羽留


産後クライシスとは、「出産後に夫婦の愛情が急激に冷める現象」のことで、1人目出産後だけの問題ではありません。一般財団法人1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査 2017」によると、持ちたい理想の子どもの合計人数は「2人以上」が79.7%です。

出典:一般財団法人1more Baby応援団
http://www.1morebaby.jp/report-shussan.html

2人目の子育てがうまくいかなければ3人以上は難しいですし、2人目産後クライシスをどう乗り越えたかが、その後の夫婦生活を決めるといえます。離婚に至らなくても、セックスレスの大きな原因となることがあるのです。2人目産後クライシスの原因、克服方法を解説します。

2人目産後は、冷え切った結婚生活に陥らないための大切な時期

2人目の産後は、子どもを2人育てることになりますから、単純計算で育児の負担が2倍です。しかし、育児は家庭ごとに違います。子どもの年齢や性格によっては、大変さが2倍以上になるのです。

1人目のときの夫の赤ちゃんへのかかわり方や、家事の分担への強い不満を持ち越していたら、2人目ではささいなことで重大な危機が訪れるかもしれません。

たとえば、2人目になると経験があるおかげで気持ちに余裕が生まれます。1人目の産後は初めての子育てに無我夢中で気がつかなかったけれど、2人目のときは夫の細かいところが目に付いてイライラしたりします。イライラしたからといって、何の説明もなく文句を言ったら、夫は1人目のときと何が違うのか戸惑うでしょう。

忙しさを理由にコミュニケーションが不足すると、夫の浮気の原因になりかねません。もし2人の子どもを抱え、母子家庭になることを想像すると、離婚は産後クライシスの最悪の結末ですよね。かといって、産後クライシスで愛情が冷め切った状態のまま結婚生活を継続するのも不幸です。

産後に急速に落ち込んだ妻の夫への愛情は、乳幼児期に「夫と2人で子育てした」と感じている女性たちは回復し、「自分ひとりで子育てした」と思っている女性たちは戻らない傾向にあるそうです。

2人の子どもたちのためにも、将来、仮面夫婦や熟年離婚にならないためにも、産後にお互いの愛情が永久に失われてしまわないよう、夫も妻も最大限の努力をするべきです。

2人目産後クライシスの原因は?

子どもと散歩する父親

イラスト 空兎 羽留


産後の体調不良、ホルモンバランスの変化、産後うつ、夫の育児参加に関する不満などが産後クライシスにつながりますが、2人目産後クライシスには、そのほかにも2人目ならではの原因が加わってきます。

2人目出産のタイミング

『2人目の壁』の最大の要因は「経済的な理由」です。働くママにとっては、「仕事への影響」が特に心配ですし、「第一子の子育てで手一杯」「心理的な理由」「年齢的な理由」などで、心や体の準備ができないという要因も問題です。

2人目の妊娠・出産のタイミングや、そもそも2人目が欲しいかどうかで夫婦間の意識が大きくずれていた場合、関係が悪化する恐れがあります。

子どもの性別

子どもの性別が希望どおりでなかった場合、気持ちを切り替えるのが難しく、育児に協力しない夫もいるようです。「希望する性別ではなかった」と心ない発言をする夫が許せなかったり、妻は自分が責められていると受け止めたりします。
また、妻自身が、希望しない性別の子どもに対して子育てのモチベーションを保てない場合もあります。

育児負担の倍増

2人目出産後のママは、身体が回復していない状態のまま、朝・昼・晩関係なく上の子どもと新生児の育児に追われます。1人目のときは、赤ちゃんが眠れば一緒に眠って睡眠時間を確保することができましたが、2人目になると、上の子をかまってあげたり、通園のための準備をしなくてはいけません。

核家族で子どもを預ける場所のない専業主婦は、子育ての責任をひとりで背負い、24時間3人一緒でなければどこにも行けない状況になります。一緒に居ても、子どもはじっとしていません。ひとりを追いかけたら、その間、もうひとりの安全を見張るのは不可能です。
誰かがサポートしてあげなければ、精神的にも肉体的にも疲れ果ててしまいます。

周囲の変化

親戚、友達、職場の同僚のお祝いムードは半減します。育児休業・時短勤務などの制度が整っている職場であっても、上司が短い休みでの職場復帰を期待するなど、制度と逆のことを言われる場合もあります。制度が取得できても、働く妻が2人目育児のために仕事を休まなければいけないこと自体がストレスです。
夫も、育児参加への意欲が減っていたり、もっと自分のためにお金や時間を使いたいという気持ちが芽生えていることがあります。

妻から母に変わったのはあなたのせいよ

 
今の日本社会では、子育ての最終責任者が母親になっている家庭がほとんどです。自分の具合が悪ければ仕事や勉強は休めますが、子育ては休めません。

各家庭の状況に応じて、子育ての『やらなければいけないこと』を夫婦で分担しても、夫が責任を軽く考えていたら、妻は自分の担当ではないことも常に気にしていなければならず、心は休まりません。

例えば、夫が「寝坊したから」と上の子の保育園への送迎を放り出して仕事に出かけたら、妻は遅刻してでも、2人の子どもたちをそれぞれの保育園に送り届けなければ仕事に行くこともできません。ひどい場合は、夫が会社で「子どもを保育園に送っていたから遅刻しました」と、自分の寝坊に子どもを使ったりするのです。

「産後クライシス」の克服方法は、「夫が父親として自覚を持ち、産後に家事・育児協力をすること」です。妻が育児中の不満を忘れることができないのは、肉体的にも精神的にも極限状態にあるからだといわれます。

「はるか昔のことを根に持って」と夫は思いますが、この時代に妻を放っておくと、「この人は私が本当につらいとき、困ったときに助けてくれない人」と強く刷り込まれてしまうのです。そのため、産後すぐの夫の育児参加はとても重要です。

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