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東京都の待機児童数はどれくらい?ワースト1の世田谷区の取り組みを調べてみた


2月下旬、自治体から認可保育園の入園可否通知が出そろう時期になりました。昨年は「保育園落ちた日本死ね」という匿名のブログをきっかけに、待機児童がいっそう注目された年でもありました。そこで今回は、都内の待機児童の状況について詳しく調べてみました。

東京都の保育サービス利用状況、待機児童数、設置状況

東京都の福祉保健局少子社会対策部保育支援課が平成28年(2016年)7月に発表した都内の保育サービスの状況は以下のようになっています。
(参照)都内の保育サービスの状況について(東京都 報道発表より)

保育サービスを利用している児童数は前年比 14,192人増加(261,705人)

保育サービスとは、認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭的保育事業等の地域型保育事業、定期利用保育事業、区市町村単独保育施策等などのことです。利用者数はかなり増えているようです。

認可保育園について詳しくはこちら

保育サービスを利用できていない待機児童数は前年比 652人増加(8,466人)

保育サービス利用待機児童数の推移

一方、保育サービス利用できていない「待機児童」も前年比で増加しています。
保育サービスを利用できている人は増えているものの、まだまだ足りないということのようです。
保育所の設置状況も見てみましょう。

保育所等の設置状況

保育所等の設置状況

これを見ると保育所数は年々増えています。それにも関わらず待機児童が増えているのは、共働き夫婦が増えた影響で保育所入所希望者数も増え、保育所の数が追いついていない切実な状況が伺えます。

「待機児童」の定義は区市町村によって異なる

東京都内の区市町村ごとに待機児童の状況を見ると以下の通りです。
(参照)都内の保育サービスの状況について(東京都 報道発表より)

●待機児童数が多い区市町村
 1)世田谷区 1,198人 2)江戸川区 397人 3)板橋区 376人

●待機児童数の増加が大きい区市町村(前年からの増加数)
 1)中央区 144人 2)荒川区 116人 3)江東区 110人

●待機児童数の減少が大きい区市町村(前年からの減少数)
 1)葛飾区 -146人 2)新宿区 -110人 3)豊島区 -104人

世田谷区の待機児童数が圧倒的に多いですが、実は「待機児童」のカウント方法は自治体に委ねられていることをご存知でしょうか?自治体によって待機児童のカウント方法が異なるため、発表されている数字を単純に比較できない実情があるのです。横浜市が待機児童ゼロと公表していても、実は「保留児童」が多いと問題になっているのはこのためです。
※保留児童とは、様々な事情で希望通りの認可保育所に入れなかった子どものこと

一般的な考え方

以下の場合は子どもが認可保育園に入れなくても待機児童にカウントされません。

・母親が育児休業を延長、自宅で休職し求職中である
例えば、認可保育園の募集に落ちてキャンセル待ちのため育休を延長しても待機児童に含まれません。また、産休前に緊急入院が必要になり、会社にいづらくなって退職し、出産後新しい仕事を探しているような場合も含まれません。

・子どもが認可外保育園へ通っている
認可保育園の募集に落ちて仕方なく高額な認可外の保育園に通い、認可保育園のキャンセル待ちをしている場合は含まれません。

世田谷区の場合

しかし世田谷区では「育休延長中」「求職中」の場合もカウントして公表しているので、突出して待機児童数が多い印象を受けてしまうのです。世田谷区が「育休延長中」「求職中」を含めて待機児童としてカウントする理由について、保坂展人区長はインタビューでこのように答えています。

保育を本当に必要としている人というのは、潜在需要者も含めているわけで、その需要を把握することが重要です。その需要がある、ということがないと予算措置や事業として進める理由がなくなります。
(抜粋:朝日新聞DEGITAL 世田谷区町インタビューより

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