すみかる住生活版

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分譲派? 賃貸派? 新婚夫婦の本音と決断

2017/04/27

分譲・賃貸には、それぞれのメリットとデメリットがあり、住まい選びの永遠のテーマとして取り上げられています。
わたしの息子夫婦も、今、住まい選びの真っ只中。30代サラリーマンの息子と、間もなく出産を控えた20代の嫁は、現在、月11万の賃貸マンションで暮らしていますが、新しく生まれてくる家族のために、分譲を購入しようと検討しはじめました。
彼らの実体験を通し、改めて、分譲と賃貸について、考えてみたいと思います。

家はしあわせの箱! 「買うよりまし」で選んでホントにいいの?

イラスト:ツキヤタケコ

 

分譲のメリットは、なんといっても、のちに資産として残ることです。ほかに、ステイタス、最新の設備やセキュリティの充実、老後の安心感なども、賃貸にはない魅力でしょう。
半面、大きな初期費用が必要なことがデメリットであり、長期にわたってローンを背負う重圧に加え、身動きが固定され、住み替えしづらい状態が続くと考えられます。

はじめのうちは、分譲購入に夢を膨らませて、意気揚々としていた息子でしたが、だんだんと考えが変わっていきました。

「今は、まだ、賃貸の方が気楽でいいって思えてきたよ。買っちゃうと、子どもが大きくなって、動きが変わる可能性があっても、そこから動けなくなるよね。自然災害も怖いし、ローンを組んだあとで会社が倒産したらとか、いろいろ考えると、やっぱり厳しいよ。なにより、いいと思うところは、高すぎて無理!ファミリータイプの賃貸は、数が少ないし、今より家賃が高いけど、買うよりはましかな」

息子夫婦はさんざん迷った挙句、いったん分譲の購入を諦めました。同じように迷った結果、なかば諦めるかたちで、結局、賃貸のままの現状を維持する人は多いのではないでしょうか。しかし、諦めて賃貸に住むのではなく、自分たちの意思で住まいを選択できるのがベストです。

終の棲み家にこだわらない! 売却を考えた中古マンションの購入という選択

イラスト:ツキヤタケコ

 

「子育てが一段落したあと、ふたりで働いて、頭金をもっと貯めてから買おうか?」
「次の子を考えたら、5~6年ぐらいは無理かな。そうしたら、今のままでも、その5〜6年で660万~792万家賃を払うことになるんだよ。更新料もかかるし。やっぱりもったいない気がするよね。それに、そのころは子どもの入学とかで、ますます買えなくなるんじゃないかな」

真剣に将来を考えるがゆえに、ふたりの意見はなかなかまとまりません。
しかし、最近、私たちが住むマンションの同フロアで、売りに出された物件に、すぐ買い手がついたという世間話から、新居探しは、それまでとは違う方向へと進みます。
築35年以上の大規模な中古マンションですが、駅から1分という好立地などが理由で、購入時より価格が値上がりして売却されました。

これをきっかけに、分譲であれば新築と決めていた息子たちに、中古という新しい選択肢が増えました。新築に比べると価格が安く、購入時と売却時の落差が少ないこと、さらには、物件数の多さから、中古マンションの流通は拡大しています。

築20~30年以降の物件であれば、価格も値下がり、安定しています。終の棲家としてではなく、スタイルの変化に合わせ、売却できる物件に絞って探すことができ、購入した家に縛られるという拘束感もかなり払拭されました。流れは、分譲中古マンションへと大きく傾きます。

大切なのは、それぞれの考え方を話しあうこと! 家に振り回されない人生を送る

イラスト:ツキヤタケコ

 
分譲の購入を決めるときは、費用だけではなく、メンタル面の強さも必要です。価格という大きな影に隠されがちな、自分の本音との対峙が、購入の鍵となるのかもしれません。
息子にとって、安心できるものは、未来の持ち家より目の前の貯蓄。大きな金額が消えることへの不安や恐怖は、想像するに難しくありません。

頭金の支払いや、ローンを組むことに変わりはなくても、中古を選択したことで購入価格が下がり、物件数が増えて精神的な負担がかなり軽くなったようです。

ふたりは今、互いの意見を確認し合いながら、立地条件を最優先し、資産価値の高い中古マンションを探しています。年内には、新居で暮らす3人のしあわせな笑顔が見られそうです。

イラスト:ツキヤタケコ

 
分譲か賃貸かという選択は、単に損得だけで割り切れるものではありません。
「どう生きていきたいのか」を自分たちに問いかける作業から始まり、ひとつひとつ、問題を解決しながら、自分にとっての最善を模索することです。

流されがちな忙しい日常の中で、自身の現状や希望と向き合う時間を持つことも、新居からの大きなギフトではないでしょうか。
おたがいの考え方や価値観をしっかり話し合い、無理や後悔のない選択をして、毎日をもっと心地よく、楽しく暮らしていきたいものです。

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