この連載は、かつて、クリエイターならではの切なさや怒りの感情をマンガで表現し、多くの共感を呼んだ “ クリエイターあるある in 日影工房 ” のスピンオフ企画。日影工房の主要メンバーであり、「仕事の機会を奪われがちな女性をサポートしたい!」という想いから生まれたウーマンクリエイターズカレッジの創設者でもある松本えつを(役名:きのこ)さんが自身の出産体験を元に、ニッポン人女性の視点から妊娠・出産・育児にまつわる「あるある」をお届けします。(いえーる すみかる編集部)
女性はいつの時代も、いつの季節も、自分のプロポーションが気になってしまう生き物なのかもしれない。
今回は、さかのぼること数年前。変態イラストレーターの“もじゃ”さんが妊婦だった頃(……という設定)のエピソードからどうぞ。
「妊娠初期の頃は吐きつわりでむしろ体重が減っていたのに、そのあと徐々に増え始めて、後期に入ったらもう止まらない……うなぎのぼりだわ!」
そんなセリフに代表されるように、妊娠後期になって、グングンと体重が増える妊婦さんは多い。
そもそも、妊娠中に増えてもいい体重はどのくらいなのだろうか。
妊娠中の体重、増えていいのはどれくらい?
かつては、「妊婦さんはお腹の赤ちゃんの分までお食べ」と進められ、軽く2人前は食事を摂る……なんて光景が当たり前だったようだが、今は時代が違う。
妊娠中こそ、食生活に気を配り、増量し過ぎないように気をつけなければならない。「赤ちゃんは小さく産んで、大きく育てよ」というのが定説になっているくらいなのだ。
産婦人科などの医療機関では、医師から「あなたの場合、妊娠中の増量は◯kgくらいに抑えましょう」などと、妊娠初期の段階で指導されることも多い。
この「◯kg」の◯の部分は人によって変わるのだが、医師は何を見て判断しているのだろうか。
それは、妊婦さんのもともとの身長と体重である。
妊婦さんがもともと「痩せている」か、「標準体型」か、「太り気味」かを判断し、それにより、妊娠中の増量の許容範囲を割り出すという流れなのだが、おそらく医師は、その流れを頭の中で瞬時にざっくり暗算していると思われる(「職業柄、培われた感覚」で割り出すともいう)。
我々一般人は「職業柄、培われた感覚」がないため、公式に頼ると……
まず、身長と体重から「BMI」を計算する。
BMI = 体重〈kg〉÷(身長〈m〉×身長〈m〉)
たとえば、体重が50kg、身長が160cmの場合のBMIは、50 ÷(1.6 × 1.6)= 19.53 ということで、19.53 である。
妊婦さんの体重増加の許容範囲は、
BMIが 18.5未満の場合(痩せ) : 10 ~ 12 kg 程度
BMIが 18.5~25未満の場合(標準) : 7 ~ 10 kg 程度
BMIが 25以上の場合(太め) : 5 ~ 7 kg 程度
とされるので、それに当てはめると、BMIが19.53の人は上記の真ん中(標準体型)。つまり、7 〜 10 kg程度の増量を目安にするとよいということになる。
ところで、これを見て、何か気づくことはないだろうか。
もともと痩せている人はたくさん増量できる、太り気味の人はあまり増量してはいけないとされるのだが……。ん? なんだか残酷なニオイがしない?
これが理屈的にどんなに残酷なことか、後の項で触れよう。