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千日太郎

2017/06/19

固定金利とは何か?をあなたは知らない by 千日太郎|住宅ローンの選び方vol.3

千日太郎
千日の住宅ローンの選び方シリーズ、今回は全5回シリーズの3回目です。
住宅ローンの固定金利についてお話しようと思います。

第1回:自分にとっての住宅ローンとは何か?をあなたは知らない
第2回:変動金利とは何か?をあなたは知らない
第3回:固定金利とは何か?をあなたは知らない
第4回:「当初固定金利」とは何か?をあなたは知らない
第5回:ミックスローンとは何か?をあなたは知らない

 2017年に住宅ローンを組む人はこの言葉を頭に刻んでおく必要があります。

✓変動する固定金利
✓変動しない変動金利

 なんだか禅問答のようですが、これから住宅ローンを組む人にとっての超実践的なセオリーです。住宅ローンの金利は毎月初めに金融機関が発表する金利がその月に適用されます。固定金利についてはそれが毎月変動しているのです。

 固定金利フラット35と楽天銀行の変動金利の推移を比較してみましょう。

年月 フラット35 変動金利
2017年1月 1.12% 0.507%
2017年2月 1.10% 0.507%
2017年3月 1.12% 0.507%
2017年4月 1.12% 0.507%
2017年5月 1.06% 0.507%
2017年6月 1.09% 0.507%

住宅ローンの固定金利は金融市場の長期金利(国債利回り)に連動して上がったり下がったりします。金融市場は常に動いていますので、住宅ローンの固定金利もその影響を受けて毎月上がったり下がったりしているんです。

住宅ローンの変動金利は銀行間で資金を融通しあう金利を短期プライムレートと言い、変動金利はこの短期プライムレートに連動して銀行が金利を上下させることが出来る金利タイプです。その短期プライムレートは日銀が市中銀行にお金を貸し付けるときの政策金利の影響を受けます。
住宅ローンの変動金利は政府の政策金利がリーマンショック以降、ずっと0.1%(ゼロ金利政策)なので、ほとんど変動しないんです。

✓固定金利は金融市場の影響を受けて毎月変動する。
✓変動金利は今のところは国が政策金利を上げないので変動していない。

 たまに『変動金利が上がったらその時は固定に借り換えるさ』なんていう声を聴くことがありますが…

それは不可能です。

変動金利が低い理由の一つとして、リーマンショックで景気が後退したことから国が政策金利を引き下げた(ゼロ金利政策)ことがあります。景気が上向いて国が政策金利(≒変動金利)を引き上げる頃には、既に長期金利(≒固定金利)は上がり切っています。

時すでに遅しなんですよ。景気や為替という、いわば自然現象によって変動する長期金利(≒固定金利)の方が、人間によって決められる政策金利(≒変動金利)よりも遥かに早く反応するからです。

1.固定金利はいつ借りるか?が重要

固定金利で住宅ローンを組む場合は何月に借りるかがとても重要になってきます。前述のフラット35の場合で考えると、2017年5月31日に借りたら5月の金利ですから1.06%の金利が適用されます。しかしその次の日の2017年6月1日に借りたら6月の金利ですから、1.09%の金利になります。

たった1日違うだけで、最長35年間払う利息が変わってしまうのです。

4,000万円を35年借りて、金利が0.03%上がると利息は総額で21万円も違ってきます。ですから、固定金利で住宅ローンを借りようとしている人は長期金利の動向をよく見ておかねばなりません。

(1)フラット35の金利は前の月から予測できる

金融市場の長期金利の動向を予測するのは、専門家でも困難です。でも、住宅ローンの固定金利として代表的なフラット35の金利であれば、前の月から予測することが出来ます。

フラット35は半民半官の住宅金融支援機構が貸し付ける住宅ローンです。
住宅金融支援機構は金融機関からフラット35の債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて「機構債(RMBS・住宅ローン債権担保証券)」という形で販売しています。

フラット35図解


つまり、フラット35のお金は、元を辿れば住宅金融支援機構の機構債の販売代金であり、機構債の表面利率とは機構債を買う投資家の投資利回りです。言い換えると機構債の表面利率は翌月のフラット35の『予定の金利』なんですよ。ですから、以下の式でフラット35の金利を予測することが出来るんです。

 フラット35金利=機構債の表面利率+住宅金融支援機構のコストと取扱金融機関の利益率

『予測する』というより『予定に基づいて推測する』のに近いです。千日のブログでは毎月中旬から下旬に、この予定に基づいてフラット35の金利を推測して公表していますので、時々のぞいてみてくださいね。

(2)融資の実行日は翌月と今月の低い方を選べるように月末近くにしておく

 上記の方法で翌月の金利が下がることが分かっても、既に融資実行してしまった後では正に後の祭りですよね。ですから、融資の実行日は月末、ないし月末近くにしておくのです。

✓もしも翌月に金利が上がる予測なら予定どおり月末に融資を実行する。
✓もしも翌月に金利が下がる予測なら融資の実行を翌月に延期する。

融資の実行日を月末にしておけば、いわゆる『後出しジャンケン』が可能になるんです。もちろん、予定は予定ですので100%その通りになるという保証はありませんので、その点は覚悟しておく必要があります。

2.固定金利を選んだら、その後変動金利が上がらないと損?

『金利は変動金利の方が安い、でも変動金利は今後上がるかもしれない、だから固定金利にしておこう』このように考えて固定金利を選ぶ人が多いです。

しかし、敢えて言いましょう。それは誤りです。

この考え方は、金融市場に投資家として参加している人が資金調達するときの考え方です。我々は利益を求めて住宅ローンを借りるのではありません、マイホームを購入するためです。固定金利は全返済期間にわたって毎月の元利均等返済額を固定する効果があります。つまり、固定金利による毎月の支払い額がその家の値段なのです。

『毎月これだけの支払いであれば、この家に住んでもいいな』

 これが、固定金利を選ぶ時の判断の物差しです。

また同時に、これは家を買う時の判断の物差しにもなります。住宅展示場やマンションモデルルームのチラシには変動金利でこの物差しを提供していますよね。『毎月〇〇円(家賃程度)で買えます!』という売り文句は賭けてもいいですが、それは変動金利です。

もし同じことを固定金利で計算すれば、千日メソッドの判断の物差しになるんですよ。

ですから、固定金利でその家を購入したら、仮にその後変動金利がどうなろうと関係ないのです。『自分と違う選択をした人が損をしないと、得した気にならない』と考える人もいるかもしれません。しかし、それは金融市場に投資家として参加する場合の原理なのです。

自分の収入で無理なく返済が継続できるのであれば問題ありません。固定から変動に借り換えるのは、今後は金利変動リスクを自分が負うという方針に舵を切るということです。その場合に必要な考え方は『第2回:変動金利とは何か?をあなたは知らない』をご一読ください。

また、固定から固定に借り換えることで、総返済額が少なくなるなら、それもアリです。後から家の値段を値引きしてもらったのと同じ効果です。

3.固定金利だけでなく全ての金利タイプに共通の千日メソッド

✓毎月の返済額に余裕はあるか?=毎月の元利均等返済額
✓現役の間に確実に完済出来るか?=60歳の時点のローン残高

全ての金利タイプに共通して、この2つがポイントです。金利ではなく金額で判断するのが肝です。当たり前の話ですが、住宅ローンは完済しないと終わりません。

(1)固定金利の毎月の元利均等返済額は手取り月収の4割以下にする

銀行の審査で住宅ローン融資の審査で判断するラインはローン返済額が収入の4割以下というものがあります。4割超が住居費というのは、何か不測の出費があったときに返済が滞る可能性が高いという銀行の経験則から導かれた割合です。

年収で計算する方法もありますが、住宅ローンの支払いは月ごとですから、月収、それも手取り月収をベースに判断する方式がより実践的です。年収だとボーナスも込みになってしまいます。

ボーナスは35年間ずっと必ず一定以上が出るとは限らないですよね。

4分の1の貯金+ローン返済額を手取り月収の40%以下に抑えるというのは、金利が上がった場合も、今まで通りの生活水準を維持出来るラインということです。

(2)60歳残高を安全圏にする繰上げ返済のタイミングは?10年後の折り返し時点

 住宅ローン控除がある10年間は繰上げ返済せずに貯金を温存しておき、住宅ローン控除が終わってから繰上げ返済するのがセオリーです。

 住宅ローン控除は各年の12月31日のローン残高×1%をその年の所得税と翌年の住民税からマイナスする減税措置ですから、住宅ローン控除がある間にローン残高を減らしてしまうのは損なんですよ。

 なので、繰上げ返済は10年後にまとめて一気に行うのがお勧めです。10年の住宅ローン控除が終わった瞬間は、いわば折り返し地点なんです。

✓当初の10年は元本をなるべく高く維持して住宅ローン控除の恩恵を受ける。
✓10年経過したら、60歳の残高を安全圏にするべく積極的に繰上げ返済する。

4.固定金利はどんな人に向いているか?

 住宅ローンの金利タイプについて、正しい認識を持つことが最も失敗の無い選択につながると思っています。

 固定金利は高いな…でも変動金利が上がらなかったら損だな…

 もしも、こういう認識であったのなら、ひとつレベルアップできたのではないかと思います。金利タイプというのは銀行が売り出す住宅ローンという『商品の種類』です。単に金利が高い安いではなく、自分に合った商品なのか?という判断をする必要があります。

 固定金利タイプが合っているのはどんな人か?どんな人に固定金利がお勧めかを最後にお話ししておきましょう。

(1) 公務員など収入が景気の影響を受けにくい人

✓好景気のインフレ時には金利が上がる。
✓不景気のデフレ時には金利が下がる。

こういう傾向があります。今は不景気のデフレで、低金利なんです。なので、公務員のように収入が景気の影響を受けにくい人にとっては、固定金利で借りることでとても有利に働きますね。

今のデフレ時には収入に対して住宅ローンの金利は安いですから負担は軽くなっています。もし今後好景気のインフレになって金利が上がっても、固定金利ならば収入に対する支払いの負担は軽いままで一定です。

公務員のように、収入が景気の影響をあまり受けない人にとって、ローンの負担を一定にする効果があるということです。

(2) 変動金利の元利均等返済額の25%を貯蓄出来るだけの収入が無い若い人

 
若くてまだこれから収入の伸びしろがあるが、現時点ではまだ変動金利の元利均等返済額の25%を貯蓄にまわす収入の余裕が無いという人にも固定金利はお勧めです。若いということは、その分定年までの返済期間も長くなります。変動金利を選択すると金利の変動リスクを負う期間が長くなるということでもあります。

 金利変動リスクに備える貯蓄が出来ない状態で変動金利を選ぶのはお勧めしません。

 一方で固定金利ならば金利変動リスクは無く、支払がずっと一定になります。一定額の負担に対して収入はこれから伸びていくわけです。最初はしんどいですが、後になるほど楽になっていくという返済計画なんですよね。

 固定金利の方が、先の長い将来に待ち受ける様々な人生のリスクに強い金利タイプと言えるでしょう。

5.まとめ~歴史的な低金利時代に万人向けの固定金利

住宅ローンの金利タイプを選ぶのに『何となく』は禁物です。

✓何となく金利が安いから…という理由で変動金利を選ぶと金利上昇に耐えられないリスクを負います。
✓金利上昇リスクが怖いから…という理由で固定金利を選び、その後数年で買い替えたならその分割高な利息を払ってしまったことになります。

住宅ローンの金利タイプをちゃんと把握し、自分のライフプランに合った商品を選ぶ必要があります。ただ、今の金利情勢は歴史的とも言える低金利で特に固定金利が低いですよね。

確かに変動金利と固定金利を比べると、相対的には変動金利の方が安いのです。しかし、自分がだれかにお金を貸す立場になって考えてみてください。35年もお金を貸して年間の利息が1%程度、というのはちょっと安すぎるとは思いませんか?

千日がどちらかというと固定金利をお勧めする傾向があるのは、そういった絶対的な感覚があるからなんですよね。

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