MENU
賃貸はお金を捨てている

賃貸はお金を捨ててるのと一緒!?

賃貸はお金を捨てている
このストーリーは、一部実話を元にしたフィクションです

「賃貸なんて金を捨ててるのと一緒だ!」が口癖の吉岡健太郎(35歳)。
誰であろうと初対面の人には必ずそのフレーズを口にするほど、彼の持ち家意識は度を超えている。
週末は自宅で盛大なホームパーティーを催すのが長年の夢らしい。

彼は日々、インターネットで売買物件を探している。
通勤しながら、昼食を食べながら、なんなら物件探しと物件探しの合間に物件探しをしている。
むしろ物件探ししかしていない。

それというのも、彼のホームパーティーへの過度な情熱とこだわりが故に、中々気に入る物件が見つからないからだ。

そんなある日、吉岡はようやく気になる物件を見つけた。
間取りよし、駅からのアクセスもよし、何より近所にドン・キ○ーテがあるのでパーティーグッズも買い放題だ。
彼はテンションが上がりすぎて即興で自作の歓喜の舞を踊った。
夜通し踊った。

踊りすぎてアパートの隣人からクレームも来た。
初対面の隣人に対して、吉岡はいつもの「賃貸なんて金を捨ててるのと一緒だ!」を発した。
隣人は話の通じない相手だなと判断し、諦めて帰っていった。

踊り疲れた吉岡はいつの間にか眠ってしまい、気がつくと朝を迎えていた。
トリッキーな動きを駆使した舞は極度の筋肉痛を引き起こし、彼は暫く動くことが出来なかった。
ようやくスマホをタップする力を取り戻したところで、改めて気に入った物件情報を見ようとした瞬間、彼の表情が青ざめた。
なんと、その物件は既に売れていたのだ。
インターネットに掲載されている物件は回転が早く、すぐに問い合わせないと売れてしまっているということはザラにあるのだ。

彼はショックのあまり膝から崩れ落ち、半月板を損傷し入院を余儀なくされた。

・・・1ヶ月後、退院した彼を更なる悲劇が襲う。
病院を出たそのとき、両翼7、8メートルはあろうかという巨大な鳥が、彼めがけて飛んできたのだ。
まだリハビリもままならず上手く逃げ切れない吉岡の両肩を、怪鳥の鋭い爪が鷲掴みにする。
怪鳥は、そのまま彼を引き上げ空高く舞い上がり巣へと飛び立った。
恐らく彼を雛たちのエサにするつもりなのだろう。

怪鳥

吉岡は驚きと恐怖のあまり最初は言葉も出せなかったが、渾身の力を振り絞ってお決まりの口癖を発した。

「賃貸なんて金を捨ててるのと一緒だ!」

怪鳥は「こいつを雛に食わせたらバカな子に育ちそうだな…」とでも思ったのだろうか。
巣に戻る前に彼を放り捨てた。

放り出された吉岡は運良く路上に生い茂った植え込みに落ち、なんとか一命を取り留めた。
空から何か振ってきたと驚いた向かいのオフィスビルから1人の女性が駆けつけた。
吉岡はあまりに美しい容姿の彼女に見とれて、お馴染みの口癖を発することも忘れた。
そして、落下に至る珍妙な体験の一部始終を話すと彼女はクスクスと笑い出した。

「やっぱ怪鳥に連れ去られるなんて経験普通はないですもんね…?」

恥ずかしそうに言う吉岡に対して、彼女は笑うのを止めると真面目な顔つきで答えた。

「いえ、笑ったのはそこじゃなくて、物件をネットだけで探してるとこですよ」

彼女の名前は斉藤由香(29歳)。
都内の不動産会社で主に居住用や投資用の売買物件を扱っている、いわば不動産のプロだ。
これは運命的な出会いかもしれないと、吉岡はそのまま彼女の事務所に行ってマイホームの相談をすることにした。

彼女に希望を伝えると、インターネットに掲載されているよりも多くの物件を豊富に提案してくれた。

さらに、単に物件のことだけではなく、住宅ローンや税金のことなど、売買に必要な色々なことを教えてくれた。
吉岡は、自分が何の知識も無いままに家を買おうとしていたことを痛感し、恥ずかしく思った。

yuka

彼女が提案してくれた物件の中に、吉岡は気になる物件を見つけた。
間取りよし、駅からのアクセスもよし、近所にドン・キ○ーテこそないが、隣人宅との距離もありパーティーで思い切りハッスルしてブギウギできる。
もうこの物件決めようとした瞬間吉岡はあることに気が付いた。

その物件は中古だったのだ。

「中古なんて、ボロいし、汚いし、臭いし、品質だって怪しいし、イヤだイヤだー!!!」
吉岡が床に転がり手足をバタバタとさせながら駄々をこね始めた。

たまらず由香は吉岡を起こし、平手打ちを5、6発浴びせると彼は正気を取り戻した。

「中古だから悪いと考える方は他にもいらっしゃいますが、中古でもきちんとお手入れされている物件は十分キレイですし、状態が気になるならインスペクション(住宅診断士)を入れれば安心して快適に住めますよ」

「なるほど…。」
吉岡はうなずいた。

「あ、そうだ、あと言い忘れていた事があるのですが…」

吉岡が少し遠慮がちに言った。

「何ですか?お客様には後悔しない物件探しをして頂きたいので、遠慮せずなんでも話して下さい。」

すると、吉岡は思い切って口を開いた。

「賃貸なんて金を捨ててるのと一緒だ!!!」

ここでも言うかと、吉岡の異常なまでの徹底ぷりが覗える。
急に脈略の無いことを言われた彼女は少し驚いた様子を見せながらも笑顔で答えた。

「そんなことは無いですよ。住居やライフスタイルのカタチは人それぞれ違ってていいし、賃貸にも賃貸のメリットがありますから。生涯の住宅コストという意味でも、将来の状況によって色々と変わってきますから、賃貸と持ち家のどちらが安いかの判断も難しいので賃貸が損とか購入が得とか、そういう損得で住居を考えるのはナンセンス。気軽に引っ越せる賃貸か、家を持つ喜び・好きなようにカスタマイズできるマイホームか、そういった趣味嗜好の観点で考えるのが一番だと私は思っています。ちなみに、月々の支払額が同じだった場合は、一般的にはマイホームのほうが広さや設備が充実しているので、ホームパーティーに熱い想いがある吉岡さんは広くて設備が新しいマイホームが合っているかもしれませんね。」

プロの意見を聞くうちに目から鱗が次々とこぼれ落ち、吉岡の偏った住宅への考えはジェンガのようにことごとく崩れ始めた。

その後、何度か由香の会社に足を運び相談を重ね、都心から少し離れた中古の戸建てを購入した吉岡は毎週末のようにホームパーティーを謳歌しているという。

今では「家のことで悩んだらまず不動産会社へ行け」が口癖のようだ。

マイホーム
 
文章・イラスト/トツカケイスケ

トツカケイスケ
【プロフィール】
2004年からフリーランスのイラストレーターとして活動を始める。
ライフワークでは主に子供をモチーフに「カワイイのにトゲがある」をテーマに海外の展示会にも多数出展。
独特なシュール感がジワッとハマるブログもオススメ!

【WEBサイトはコチラ】
http://www.totsunet.com

【コミカルなLINEスタンプも発売中】
https://store.line.me/stickershop/author/4549/ja

あなたにおすすめ記事

森の中のウッドデッキテラス

ひだまり家族のウッドデッキ奮闘記 〜傾斜地の活用法〜

  • 買う・借りる
オープンハウスを紹介

徳島県最後の村で地域交流。「新家」のオープンハウス開...

  • 買う・借りる
「南向き」は日当たりが良いので、日中自宅で過ごす人におすすめです。

南向きが最適?方角別に見る、部屋のメリット・デメリッ...

  • 買う・借りる
Web会議サービスを使った「ネット完結型の注文住宅販売」サービス

共働き世帯必見!注文住宅の購入&建築がすべてオンライ...

  • 買う・借りる
ページトップへ戻る
CLOSE